身体が疲れる原因は体質の要素もありますが、多くは日頃の生活環境に原因があります。
生活環境がどのように身体に影響して疲労の原因になっているかを理解して身体の負担が増えないように対策を立てましょう。
多くの方は日頃何らかの仕事や家事をされていることでしょう。
疲労の原因と簡単な対処、セルフケアを仕事や家事などの身体の使い方で分けてみていきます。

立ち仕事の場合

立ち仕事でも同じ場所で立ったまま長時間作業するのと歩いて動き回るのとでは使う筋肉が変わってきます。
立ったままあまり動かない状態では、同じ姿勢を維持するために下半身や背部は特定の筋肉を集中的に使っています。
下半身では主に膝から下、足の外側、股関節周りの筋肉など、上半身では首、背中や腰の筋肉などを無意識に常に緊張させています。
足の筋肉は下半身の血液やリンパ液などを上半身に戻すポンプの役割がありますが、動かさないとそれが機能せず循環不良による足のむくみ冷えなどが出てきます。
また背中や腰の筋肉も緊張しているので腰痛、坐骨神経痛、膝や股関節の関節痛などが出やすくなります。
さらに姿勢を保つために足の外側や踵側に力がかかるのでO脚偏平足の原因にもなってきます。
立ち仕事の負担を減らすには、時々膝の屈伸足踏みなど積極的に足を動かすようにしましょう。アキレス腱のストレッチや相撲の四股踏みなども有効です(力士のように足を高く上げる必要はありませんが)。
ももの内側の筋肉(内転筋)を意識して締めると腰が伸びて姿勢が良くなります。慣れると疲れにくくなるのでおすすめです。
例えば調理や美容院の仕事などは手を使って細かい反復作業が多いので首、肩や腕も疲れて凝ってきます。
自分で簡単に出来るおすすめの疲れ解消法があります。
正座になって身体をかがめ、自分の手や腕を足と床の間にはさみます。自分の体重で呼吸に合わせゆっくりしたリズムで押してみましょう。徐々に筋肉がほぐれ血流が高まり腕だけでなく肩も楽になってきます。無理して骨や筋を痛めないように注意してください。

座り仕事の場合

座って仕事をする場合、姿勢が前かがみになることが多くなります。
パソコン、書き物、その他手仕事をするときは手を前に出し対象に顔が近づきます。
背中や肩が丸くなり姿勢がいわゆる猫背になります。
すると頭の重さの重さを支えるために首や肩の筋肉が一斉に緊張します。
その状態が仕事をしている間何時間も続くのですから首や肩が凝ってしまうのです。。
座り仕事の場合は至近距離を凝視して仕事をするために立ち仕事よりも姿勢が悪くなりやすい。
目を酷使するので神経が緊張し、眼精疲労から肩こりにつながります。
人によっては頭痛や吐き気も伴います。
さらに猫背になると骨盤が後傾するので腰まで緊張してきます。
足の筋肉は立ち仕事のようには緊張していませんが、長時間筋肉を動かさないのとイスでお尻やももが圧迫されて循環が停滞しむくみや冷えになりやすい。
首や肩が凝ってくると頭部への血流が低下し、呼吸も浅くなるので脳の酸素が不足し集中力が続かず効率が落ちます。
疲労を溜めないために、まず時々立って背伸びしましょう。
できれば少し周りを歩いたり、膝の屈伸をして下半身も動かす。
手を広げ、胸を開いて深呼吸します。
血流が高まって頭もスッキリしてきます。
立って一息つく余裕のない人は座ったままでも背伸びと深呼吸しましょう。
腰を起こして座り直してから始めます。
腰が落ち骨盤が後傾し猫背になったままだと胸も開かず深い呼吸ができません。
腰に両手を当て腰を伸ばしてから背伸びと深呼吸をします。
その時目線は窓の外の景色をみるなどしてなるべく遠くに置きます。
気持ちも開放されリラックスします。

歩き仕事の場合

長時間歩いていると主に疲れてくるのは動かす脚の筋肉や上体のバランスをとる首や腰など体幹の筋肉です。
さらに仕事や日常生活では身体を支える歩また靴やかばんなど身につけている物や持っている物も疲労に影響します。
革靴など硬い靴で歩いていると足先を上手く使えないので膝から下の筋肉が余計に疲労し、足のだるさや痛みを引き起こします。
また重いかばんなどを片手に下げて歩いていると片側の肩の筋肉や腰の筋肉をより緊張させるので左右の身体の歪みにつながります。
日々そのような生活だと真っ直ぐ立っても身体がどちらかに傾いていたり捻れていたりします。
普段硬い靴を履いて仕事をしている人は仕事以外の時間ではできるだけ裸足で足先を動かしましょう。
風呂に入った時に足の指でグーパーと繰り返し曲げ伸ばしする。足首を回したりするのも有効です。
アキレス腱のストレッチを十分にやると疲れが取れます。
片方の手を腰にあて、もう一方の手を上に伸ばしながら身体を横に傾け体側のストレッチも効果的です。
かばんなど重い荷物を持って歩く方は時々左右持ち替えて歩く。
荷物の持ち方も握りしめず薬指と小指を中心に親指以外で引っ掛けるように持つと肩が緊張しないので試してみましょう。
ちなみに歩く姿勢や歩き方というのは人それぞれ、体質や環境だけでなく身体の癖やその人の性格まで出てきます。
周囲の人に与える印象も変わってくるので見直したいところです。

力仕事の場合

身体を使ってする仕事は筋肉が動いているから身体が固まらないだろうと思われるかもしれません。
ですが仕事の身体の使い方はやはり偏り反復作業が多くなるため身体の同じ部分ばかりに負担がかかります。
例えば、介護福祉関係の場合は対象が人なので相手に合わせて動かなければならない。
建設業で重いものを担ぐときはたいてい担ぎやすい方の肩で担ぎます。
農業は土を相手にしているので前かがみが多く腰に負担がかかります。
狭い場所や足場の不安定な場所での作業、のぞきこむような姿勢で長時間仕事をする、など過酷な環境は身体に相当負担をかけます。
時間に追われて荷物を運ばなければならない時は、それだけで肩に力が入っていますし、身体のことなど気にしている余裕はありません。特に首や腰が過度な負担で傷んでいる方が多いです。
対処としては半身浴で十分身体を温め、首や腰のストレッチがおすすめです。
それでも日々の疲労の蓄積が激しい時は指圧や鍼をして積極的に疲労を取り除くのも有効でしょう。

主な家事について

掃除をする場合
掃除機の機能は年々進歩して軽くて良く吸い込むので以前よりも楽になっているようです。
ただどうしてもホースを持って床をなぞるという動き自体は変わらないので腰に負担はかかります。
手を遠くに伸ばすと上体も前についていき足は留まったままなので上半身を腰が頑張って支える形になります。
その動作を繰り返すわけですから腰がつらくなるのは当然です。
腰に負担をかけないように掃除機をかけるには手を遠くまで伸ばさないようにします。
ほんの少し膝を曲げ、手を遠くに伸ばさない分、こまめに一歩足を前に出しましょう。
やや目線を落としてなるべく頭が前に倒れないよう上体を起こした姿勢をキープします。
少し優雅な気分で掃除機をかけてみてくだださい。
腰や背中の緊張が少なくなります。
拭き掃除も同様に自分の手があまり身体から遠くならないようにして、拭く高さに身体を合わせるようにします。
高いところなら脚立を使って、低いところなら膝を落としてしっかりかがむというように。
最近はルンバのような自動で掃除してくれる製品もありますね。
全自動洗濯機のように主婦が掃除からも開放される日がくるのでしょうか?

調理をする場合
食事の支度も毎日のことで多くの時間を割かれている主婦の方も多いでしょう。
台所仕事も家電やシステムキッチンの進化で効率化が進んでいるようですが、台所の前に立って包丁を使って下ごしらえや調理という一連の作業は変わっていません。
負担のかかる部分は立ち仕事と同様です。
時間が限られているので長時間の負担は少ないでしょうが、朝など時間に追われていると肩に余計な力が入っているものです。
一度顔を上げて深呼吸して肩を上げ下げしてリラックスしましょう。
自宅だとはいえ、水まわりは足元が冷えやすいことが多いので、レッグウォーマーやスパッツなどで足元や下半身が冷えないように気をつけましょう。